物語の中には復讐譚という型があります。
さるかに合戦もカチカチ山も分類するならこれです。
モンテクリスト伯も忠臣蔵も言うまでも無くこれ。
当然ですがこれらは復讐する相手がはっきり判って
いるから復讐のモチベーションを保っていけます。
相手が判らない場合は??
今の世の中で、自分の貧困を嘆く人は誰を恨んだ
ら良いのか難しいでしょう。
こういう状況だと物語も復讐譚ではない型ができる
でしょう。今時のムードにぴったりな物語といえば、一
例を挙げるならばわらしべ長者なんてのがそうです。
将来に希望がない閉塞感がきっと今と似ている。
じいさんも百姓、おやじも百姓、自分も百姓、子供
ができたら百姓。で、頑張ってもこの連鎖から抜けら
れないって薄々わかってるので、自分の能力努力で
いい境遇を勝ち取るなんてまったく現実感がない。
だから、わらしべ長者のような「他力本願」の物語
に救いを求めたかったという事だと思うのです。
これとちょっと似たテイストでわしがとても好きなのは
絵姿女房という話。
これといって取り柄もない権兵衛どんの許にある日
ものすごい美女が泊まりにきて夫婦になる。
権兵衛どんは奥さんにぞっこんで仕事も手に付か
ず奥さんは自分の絵を持たせてこれを私と思って
仕事を頑張れと家から送り出すけれど、ある日絵が
風で舞って殿様の御殿に落ちてそれを見た殿様が
奥さんの絵に一目ぼれして奥さんを召し上げる。
もうこの辺りまでで面白いってわかっていただけたと
思うのですが、この後の展開がさらに良いのです。
他力本願プラスアルファなこの話は最高です。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
ライブに来てください!